2024/04/07 22:03
弊店ではコーヒー豆を焙煎して販売してるわけですが、焙煎前のコーヒー豆を「生豆(なままめ)」と呼ばれます。
さらにその生豆にするには、コーヒーの果実から生豆を取り出す作業が必要になります。この作業を「生産処理」ないし「精選処理」と言います。この生産処理にはいくつかの方法があり、それぞれによって味・風味が大きく変わってきます。
今回はその生産処理についてのお話です。実は図で書いたほうが分かりやすいだろう内容なのですが、なるべく文章で分かりやすく表現したいと思います(できるとは言ってない)。
長ければ後半の太字部分だけでも覚えていただければ幸いです。
まずコーヒーの果実についてですが、ざっくり「チェリーの実」みたいなものにコーヒー豆が2つずつ入っている と想像してください。
中の豆はそれぞれ薄皮に覆われており、殻のまわりにはヌメヌメ成分がついてます。その外に果肉部分があり、それが実としてなっている という状態です。↓こんな感じ
中側 豆ー薄皮ーヌメヌメー果肉 外側
言ってしまえば生産方法は、この①果肉 ②ヌメヌメ ③薄皮 をどのように取り除きましょうか ということです。
その方法を4つ、以下でご説明いたします。
・ナチュラル製法
採取→天日干し→赤黒くなったら①~③を全部取り除く
・ウォッシュド製法
採取→果肉を取る→ヌメヌメを取る→水洗い→乾燥→薄皮を取る
・ハニー製法
採取→果肉を取る→乾燥→ヌメヌメと薄皮を取る
・アナエロビック製法
採取→タンクに入れて発酵→①~③を全部取り除く
ほかにもパルプドナチュラルやスマトラ式、上記のものも天日干しとか日陰干しとかアフリカンベッドを使うとか、近年は細分化しておりますがここでは割愛します。
また、「〇〇ファーメンテーション」というのもあります。「Fermentation(発酵)」というそのままの内容ですが、コーヒー以外のものをタンクに入れて発酵させる方法となります。例えば「イーストファーメンテーション」ですと、イースト菌を一緒にタンクに入れて発酵させた方法となります。 中国の雲南省で生産されたイーストファーメンテーションのコーヒーは、強いピーチテイストが評判で、様々なロースターさんがこのコーヒーを提供していました。 弊店でもごく少量の生豆がありますので、もしかしたら数量限定で販売するかもです。
少し脱線してしまいましたが、上記の方法で生豆を取り出しており、ざっくりと以下のような味わいとなる傾向にあります。
・ナチュラル:ヌメヌメの甘み成分を吸収しているのか、甘い味わいになる傾向にあります
・ウォッシュド:すっきりとキレのある味わいになる傾向にあります
・ハニー清掃:ナチュラルとウォッシュドの中間。ちなみに果肉を取る際、ヌメヌメもある程度取ることもあり、
ほとんど取らない→レッドハニー 半分取る→オレンジハニー ほとんど取る→イエローハニー と呼ばれ、赤→橙→黄 になるにつれウォッシュドの味わいに近づきます。
・アナエロビック:ナチュラル以上に甘い味わいに。熟れた甘ったるい味わいになることも。
あくまで傾向・一般論の話ですので、生産国や地方、農園、品種によって千差万別ですのでご注意ください。
多くのロースターさんでは、それぞれのコーヒー豆の紹介欄に生産方法が記載されていると思いますが、コーヒーを選ぶ際の指標としてお役立ていただければと思います。
蛇足の主観ですが、ナチュラル、レッドハニー、アナエロビックは結構焙煎の難易度が高いような気がします。火力が高いとすぐ苦みが発現し、火力が弱いと生焼けになる 特にナチュラルはおいしいが厄介な生産方法だなぁ といつも感じております(ウォッシュドの倍以上、試行量が必要でした)。